遠近両用コンタクトのソフトとハードはどっちが見やすい? おすすめは?

ソフトVSハード

コンタクトレンズのソフトとハード。

どちらにも強み弱みがあるので、一概にどちらがいいということはできません。

一昔前なら、性能的な理由から「ハードの方が絶対良い」と言われていましたが、最近はソフトでも酸素透過率が高いものも多く、汚れのことを考えるとハードではワンデーにかなわないので、「ハード絶対説」は崩れつつあるのではないかと思います。

ハードとソフトは一長一短。
どちかが良いかを決めるのは難しい。

しかし、遠近両用コンタクトレンズに限って言えば、その差は明白です。どちらが良いかなんてことを考えるまでもない、と私は思っています。

遠近両用コンタクトレンズのハードとソフトはどちらがいいのか。

また、なぜそう言い切れるのか。

今回は、そんなお話をしていきたいと思います。

※この記事は、ソフトとハードの両方が付けられることを前提として書いています。そのため、ソフトとハードのどちらかがつけられない方が読んでも(特にハードがつけられない方が読んでも)、あまりメリットがないかもしれません。ご注意下さい。


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遠近両用コンタクトレンズのソフトとハード。おすすめは……

普通のコンタクトレンズでは、ソフトとハードの良し悪しが決めづらいというのは冒頭で書いた通りです。そのため、ここでは基本的なレンズ性能の面での比較をスルーして話を進めていきます。

では、レンズ性能を無視した場合、何がソフトとハードの比較対象になるのか。遠近両用コンタクトレンズの場合、その答えは簡単ですね。近くの見え方。この一点だけで比較してあげればいいのです。

遠近両用コンタクトレンズは、どんなに酸素透過率や汚れへの耐性が優れていても、近くが見えなければ使う意味がありません。経験上、患者さんが遠近両用コンタクトレンズを決定する際の決定条件になるのは、99パーセント「見え方」です。

私はもうだいぶ長い事眼科で働いていますが、遠近両用コンタクトレンズの決定を見え方以外の要因で決めた患者さんには会ったことがないですね。

どの患者さんも手元の見えづらさを解消したくて遠近両用コンタクトレンズを選んでいます。まあ、遠近両用コンタクトレンズの存在意義を考えれば、当たり前ですよね。

さて。

ちょっと余談が過ぎましたが、遠近両用コンタクトレンズのソフトとハードではどちらがの方が見え方が良いというと、これはほぼ100パーセント、ハードですね。

あまり物事を断定したくはないので「ほぼ」としましたが、本当なら、100パーセントと言ってしまっても良いレベルだと思います。

ソフトよりハードの方が見え方ががいい理由

では、なぜソフトよりハードの遠近両用の方が、見え方がいいのか。その理由を考えていきたいと思います。簡単にまとめると、このような理由が挙がりますね。
  1. ソフトよりハードの方がそもそも見え方が鮮明
  2. ソフトの遠近は乱視を矯正できない
  3. 同時視型は性質上どうしても視界を鮮明にすることができない
1~3まで簡単に掘り下げていきます。

1.そもそもソフトよりハードの方が見え方が鮮明

片や水分を含んだ柔らか素材。片やしっかりとしたプラスチック素材。素材の段階で、すでにどちらが矯正具として高い効果を発揮出来るかの勝敗は見えています。

しかもソフトは、もともとハードに比べると乾きによる影響を大きく受けます。目が乾いてくると視力の維持が難しくなるので、その点でも、ハードの方が優れた矯正力を持っています。

2ソフトの遠近は乱視を矯正できない

ハードの特徴として、「とりあえず目に付いているだけである程度乱視を矯正してくる」というものがあります。これはハードを付けた際に目とレンズの空間に作られる涙の層が、乱視を打ち消してくれるためです。

しかし、素材が柔らかく、目にぴったりとくっついてしまう場合はこの効果が生じません。そのため、ソフトには乱視用コンタクトレンズというものがあります。これを使えば、乱視がある方でも安定した視力を得ることがあります。

ただ、乱視度数と、加入度数(近くを見るための度数)は共存ができません。したがって、乱視度数入りの遠近両用ソフトコンタクトレンズというものはありません。

老眼が始まっていて、なおかつ強い乱視がある方は、乱視用か遠近両用かの選択を迫られることになります。乱視という点でも、ハードはソフトに比べ有利になります。

3.同時視型はどうしても視界を鮮明にすることができない

遠近両用コンタクトレンズの見え方の仕組みはソフトとハードで大きく異なります。ソフトに用いられるのは同時視型、ハードに用いられるのは交代視型と呼ばれる仕組みです。

同時視型と交代視型の仕組みについての説明を始めると長くなるので、この記事では省略しますが(気になる方はこちらを参照)、見え方の評判では交代視型の方が圧倒的に良いです。

交代視型は正しく矯正すれば近くと遠くがしっかり見えるようになりますが、同時視型はどれだけ丁寧に矯正しても、見え方がぼんやりとしてしまいます。同時視型は、簡単にいうと遠くを見る度数と近くを見る度数が重なり合うようにして入っているので、遠くを見る際に、近くを見る度数の介入を受けてしまうんですね。もちろん、近くを見る際には、その逆のことが起こります。

世間一般で遠近両用コンタクトレンズの評判があまり芳しくない理由は、ほぼ、ソフトのせいですね。今ではコンタクトレンズ利用者の7割以上がソフトですが、もしその割合が逆だったら、遠近両用コンタクトレンズの評判ももう少しよかったのではないかと思います。


以上3点を踏まえる遠近両用コンタクトレンズの見え方は、現状、ハードの方が圧倒的に良いということができます。これは、また何か新しい「型」が開発されない以上、なかなか変わらないでしょう。

遠近両用コンタクトレンズ、ソフトとハードまとめ

今回は、遠近両用コンタクトレンズのソフトとハードではどちらがいいかということについてまとめてきました。

だいぶボロクソな感じで書いてしまいましたが、この記事はソフトの遠近両用コンタクトレンズの存在意義を否定するものではありません。ハードに比べればたしかに見え方は不利ですが、付け心地や利便性を考えるとやはりソフトは魅力的です。かくいう私も使っているのはソフトの遠近両用コンタクトレンズですからね。

ソフトの遠近が使えるか否かは、同時視型の独特の見え方に慣れられるかどうかで決まります。見え方に妥協したくないという方は、ハード一択ですね。