
「遠近両用コンタクトレンズを始めるタイミングっていつ?」
「何歳くらいがちょうどいいの?」
眼科で働いていると、患者さんからよくこんな質問を受けます。
もしかすると、この記事を読んでいる方の中にも、同様に疑問を持っている方がいるかもしれません。
もちろん、老眼の進行には個人差があるので「始めるなら○○歳がベスト」ということは言い切ることはできません。しかし、遠近両用コンタクトレンズを使い始めるタイミングを考える上で確実に1つ言えることがあります。
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老眼を我慢しないこと
遠近両用コンタクトレンズを始める上で一番していけないのは、老眼を我慢することです。または、「まだそんなに強い老眼じゃないし」と、老眼を自覚しているにもかかわらず、何も手を打たずにいるのもいけません。これも老眼を我慢しているのと同じことです。
遠近両用コンタクトレンズは、普通のコンタクトレンズと違い、1枚のレンズの中に2つ以上の度数が入っています。わかりやすくいうと、遠くを見る度数と、近くを見る度数ですね。この2つの度数を結ぶ中間地点の度数もあります。
老眼が進むと徐々に近くが見づらくなっていくので、近くを見る度数もそれに合わせて強くすることで対応していきます。つまり、老眼が進むにつれ、遠くを見る度数と近くを見る度数の差が大きくなっていくということです。
ある程度近くと遠くの度数差が大きくなった遠近両用コンタクトレンズは、普通のコンタクトレンズに比べ、だいぶクセが強く、特殊な見え方になります。
まだ一度も遠近両用コンタクトレンズを使ったことのない方が、いきなり近くと遠くの度数差の大きい遠近両用コンタクトレンズを使おうとすると、普通のコンタクトレンズとのギャップの大きさに驚き、「遠近両用コンタクトレンズなんてとても使えたもんじゃない」となってしまいます。
それに対し、早い年齢から(老眼が弱いうちから)遠近両用コンタクトレンズを使い始め、徐々に近くを見る度数を強くしてきた方は、遠近両用コンタクトレンズ独特の見え方に慣れているので、違和感を覚えにくく、利用できるということです。
以上のことを簡単にまとめると、こうなります。
- 老眼がある程度進行した状態でいきなり遠近両用コンタクトレンズを使い始めても、うまくいかない場合が多い
- 慣れがまったくない状態で度数差の大きい遠近両用コンタクトレンズをいきなり使うのは難しい
- 遠近両用コンタクトレンズを使い始めるのは、老眼を感じたタイミングがベスト
老眼のサイン
40歳以上で、次のような症状を感じている方は、老眼が始まっている可能性が高いです。遠近両用コンタクトレンズの使用を考えてみてもいいでしょう。小さくて細い字が見づらい
- 食品表示や成分表示が見づらい・見えない
- 値札の数字(たとえば3と6と8など)が判別しづらい
ピントが合わせづらい
- スマートフォンや新聞を見る時、顔から遠ざけたほうが見やすい
- 手元から遠くに視線を移した時に、ピントが合うまで時間がかかる
- 照明を落としたレストランで、メニューが見づらくなった
- 夜、自室で本を読んでいる時に、暗さがとても気になる
目が乾きやすい
- 若かった頃に比べて、目がショボショボしやすくなった
- ドライアイかな、と感じるようになった