自覚していないだけなのか、自覚はあるのだけれど、認めたくないのか。
「眼鏡をはずせば見えるから老眼じゃない」という方もいますが、これは完全に老眼です。老眼が始まっていない人は、どれだけ強い度数の眼鏡をかけていても近くを見ることができます。
老眼を認めたくない気持ちはわかりますが、専門的立場から言わせてもらえば、40歳を過ぎてて老眼の症状がまったく出てないなんてことはありません。
老眼を認めようが認めなかろうが、究極的に言ってしまえばその人の自由ですが、健康のことを考えるなと、老眼の症状が出ていても認めず無理をしているのはあまり身体によくありません。
今回は「老眼と放置」に関するお話をしていきたいと思います。
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老眼の放置は身体に悪い?
老眼を放っておくと、どんなことが起こるのか。老眼の進行が早まる?
いえいえ、そんなことはありません。
逆に、老眼が出てきたから老眼鏡をかけたり、遠近両用コンタクトレンズをつけたりする。
これについても、老眼鏡とか遠近両用コンタクトレンズを使うと老眼が早く進むんじゃないの」なんて思っている人がよくいますが、実際はあまり関係ありません。
老眼の進行は、身体の老化現象と同じで、意思で食い止められるものではないのです。確かに目のトレーニングをしたり、サプリメントなどを摂取することでいくらか進行が軽減できる、というような話もありますが、実はこれらは根拠に乏しく、眼医学会も正式な表明を出していません。あくまで可能性がある、という段階の話なのです。
では、改めて老眼を放置すると何が悪いか、というと、眼精疲労を引き起こす可能性があるからです。
眼精疲労とは、疲れ目、などと呼ばれる眼疲労とはまた違うものです。名前が似ていてややこしいですが、眼精疲労と眼疲労とでは、症状の程度に大きな差があります。
眼疲労と眼精疲労
眼疲労は、ただ眼が疲れているだけの状態を指します。身体の疲れと同じように、休眠をとることで、解消することができます。一方の眼精疲労は、眼を酷使することによって眼以外の場所に症状が出ることを言います。具体的な症状としては、
- 眼や頭が重い
- 頭痛がする
- 肩凝りがする
- 食欲がでない
- ドライアイ
さらに症状が悪化すると
- イライラ感や不安感が生まれる
- 軽度のうつ状態になる
眼精疲労は、眼疲労のように休眠をとれば解消できる、というものではありません。使っている眼鏡やコンタクトレンズの度数を調整したり、点眼したり、眼を暖める・冷やすなどをして、治療していくことになります。
眼精疲労の症状が出た場合には、家庭では対処しきれないので、眼科へと向かうことに成ります。眼精疲労と眼疲労の最大の違いは、れっきとした病気であるかどうか、とも言えます。
老眼の放置は眼精疲労の原因になる?
眼精疲労の原因にはさまざまなものがあります。一般的なのは、度数の合っていない眼鏡やコンタクトレンズを使用していることや、パソコン作業のしすぎ、スマホの使い過ぎなどといったことですが、老眼の放置も原因の一つになります。そもそも老眼とは、眼が本来持っている近くにピントを合わせる能力(調節力)が加齢により失われることです。老眼の人が眼鏡やコンタクトレンズを使用すると近くが見づらくなるのは、眼鏡やコンタクトレンズの度数を打ち消して近くにピントを合わせられるだけの調節力が、なくなってしまっているからです。
眼鏡ならすぐにはずせるので近くを見やすくできるでしょうが、コンタクトレンズの場合はそうはいきません。老眼鏡を上からかけたり、レンズの度数を弱めたり、遠近両用コンタクトレンズにしたりしないと、近くにピントを合わせることが困難になります。
老眼が始まっているにもかかわらず、上に挙げたような対処を何もせずに、眼を細めたり、顔から物を遠ざけたりして無理に近くのものを見ていると、それが負荷となり、やがては眼精疲労になるのです。
眼に負荷をかけないことが大事
眼精疲労が生じることを完全に防ぐことはできませんが、眼にかかる上に挙げた原因を回避すれば、発症のリスクを下げることができます。上に挙げた原因とはすなわち、
- 度の合っていない眼鏡屋コンタクトを使う
- パソコン、スマホ使用による目の筋肉の酷使
- 老眼の放置
あとは、眼を長時間乾燥させてしまうこともそうですね。
これらを回避することで、眼精疲労の発症のリスクを下げることができます。