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遠近両用コンタクトレンズとは?
一枚のレンズに複数の度数が混在するコンタクトレンズです。その性質から、多焦点レンズとも呼ばれます。老視が始まると、目が持っているピント合わせの能力が下がり、近くのものにピントを合わせるのが困難になります。単焦点レンズ(遠近でない普通のコンタクトレンズ)はレンズ全面で度数が一定のため、度数を強くして遠くを見やすくすると反対に近くが見づらくなり、近くを見やすくすれば遠くが見づらくなります。
しかし、多焦点コンタクトレンズは、一枚のレンズの中に度数の強い部分と弱い部分が混在しているため、適切な見方をすれば遠くも近くも見ることができるようになります。
イメージとしては、遠くのものを見る時はレンズの中の度数が強い部分を介して見て、近くのものを見る時はレンズの中の度数が弱い部分を介してみるような感じですね。
遠近両用コンタクトレンズはその度数設計の違いから、「同時視タイプ」と「交代視タイプ」に大別することができます。これについては後述します。
この矯正法のメリット
「遠近両用コンタクトレンズ」のメリットは以下の通りです。- コンタクトレンズだけで生活できる
- コンタクトレンズだけで、遠くも近くも見ることができる
- 激しいスポーツにも向いている(ソフトの場合)
- 強度近視にも対応できる
コンタクトレンズだけで生活できる
この矯正法の最大のメリットです。コンタクトレンズだけで(老眼鏡を使わずに)生活し、なおかつ遠くも近くも見たいとなると、この矯正法を選ぶ他ありません。激しいスポーツにも向いている
これはソフトコンタクトレンズに限った話ですが、激しいスポーツに向いています。ハードコンタクトレンズでも、ランニングやサイクリングなど、強い衝撃が発生しにくいスポーツなら行なうことができるでしょう。この矯正法のデメリット
この矯正法のデメリットは以下の通りです。- 価格が高い
- 年齢によってはほとんど矯正できない場合もある
- 人を選ぶ
- 乱視が矯正できない
値段が高い
この矯正法最大のデメリットです。遠近両用コンタクトレンズは通常タイプのレンズに比べ値段が高いので、それで利用を諦める人もいます。年齢によってはほとんど矯正できない場合もある
遠近両用コンタクトレンズには加入度(近くを見る時に働く度数)がいくつか用意されているものもありますが、それでも対応できる範囲に限界があります。その方がどれだけの見え方を求めるかにもよりますが、私の見解では、50代後半になるとソフトの遠近両用コンタクトレンズで「遠くも近くも」を実現するのは難しくなってくるように思います(ハードの方が矯正できる範囲が広いです)。
人を選ぶ
遠近両用コンタクトレンズは使う人を選びます。要は、遠近両用コンタクトレンズの見え方、使い方に納得ができるか、ということですね。遠近両用コンタクトレンズの矯正力には限界があります。
向いていない人は以下の通りです。
遠近両用のメガネは、レンズの半分より上が強めの度数、下が弱めの度数になっていますが、コンタクトレンズはメガネと違い、瞬きの際に少なからず目の中で回転してしまうので、レンズの中心部が強めの度数、外側の部分が弱めの度数、という設計になっています。
交代視型の強みとしては、度数分布がはっきりとしているため、後に紹介する同時視型より見え方がはっきりしやすい、ということが上げられます。
弱みとしては、手元のものを見る際に、顔の角度に気をつけなければいけないことが挙げられます。交代視方のレンズで手元のものを見るためには、下目使い(顔は前を向いたままで、視線だけを下に向ける見方「下方視」)をしなければいけません。手元のものにまっすぐ顔を向けてしまうと、上の画像でいうレンズの中心部(度数が強い部分)で手元を見ることになってしまうので、近くが見づらくなってしまいます。
また、上にも書いた通り交代視はハードコンタクトレンズにのみ用いられる設計です。ハードコンタクトレンズが付けられない方は、必然的にソフトコンタクトレンズを選ぶことになります。
同時視型は交代視型に比べ少し構造が複雑なので、少し人の目と焦点の仕組みについて触れてから、仕組みを説明していこうと思います。
人は距離が異なる複数のものを同時に見る時、無意識のうちに、脳の中で見たいものを選んで見ています。たとえば網戸を通して遠くの木を見る時などがそうです。目では確実に網戸も見ているはずなのに、網戸の存在をほとんど気にせずに木だけを見ることができるのは、人の脳が、目から入ってきた木と網戸という二つの情報の中から前者を選び、後者を排除しているからです。
同時視型の遠近両用コンタクトレンズは、このような人間の目の性質を利用しています。同時視型はその度数分布によりさらに細かく分類することができるのですが、だいたいは下図のように遠近の度数が交互に細かく入っていたり、あるいはほぼ重なり合うように入っています。
同時視型の遠近両用コンタクトレンズで遠くを見ると、遠用の度数を介して見た像が脳によって選ばれ、近用の度数を介して見た像は無視されます。逆に近くを見ると、近用の度数を介して見た像が脳に選ばれ、遠用の度数を介して見た像は無視されます。これは、網戸を通して木を見るのと同じですね。
ただし、無視されるといっても完全になくなるわけではないので、遠くを見る時も近くを見る時も、交代視型の遠近両用コンタクトレンズに比べ見え方がぼんやりとしてしまいます。そういった意味では、交代視方の遠近両用コンタクトレンズに比べ見え方の満足度は低いかもしれません。
しかし一方で、同時視型は交代視方のように視点変更をする必要がないので、激しく視点を動かす必要があるスポーツや、パソコン作業に向いていると言えます。また、ハードの装用感にどうしても慣れられないという方は、必然的にこちらを使うことになるでしょう。
私も年齢的に老視が若干入ってきたので遠近両用コンタクトレンズ(プロクリアワンデーマルチフォーカル)を利用していますが、やはり見え方の鮮明度は、「遠用コンタクトレンズ+老眼鏡」には敵いません。老眼鏡の付けはずしの手間が苦にならないのであれば、視覚効果的にも経済的にもそちらで矯正した方がいいかもしれません。
遠近両用コンタクトレンズが合わなかった場合の老眼対策には、以下の方法が挙げられます。
向いている人・向いていない人
「遠用コンタクトレンズ+老眼鏡」が向いている人は以下の通りです。- コンタクトレンズだけで過ごしたいという強い希望がある人
- 見え方の妥協ができる人
- 軽度の老視の人
- コンタクトレンズを使いつつ、なるべくコストを抑えたい人
向いていない人は以下の通りです。
- 遠くも近くもはっきりと見たい人
- 老眼がある程度以上進んだ人(60歳以上になると矯正が難しくなってきます)
交代視と同時視について(遠近両用コンタクトレンズの仕組み)
上にもちらっと書きましたが、遠近両用コンタクトレンズは、その度数分布によって「交代視型」と「同時視型」に大別することができます。交代視型
ハードコンタクトレンズにのみ用いられる設計です。交代視型のコンタクトレンズは、部分によって度数差がはっきりとわかれています。イメージとしては、遠近両用のメガネに近いですね。![]() |
出典:コンタクトレンズJAPAN (http://www.contactlens-japan.com/eyecolumn/column03.html) |
遠近両用のメガネは、レンズの半分より上が強めの度数、下が弱めの度数になっていますが、コンタクトレンズはメガネと違い、瞬きの際に少なからず目の中で回転してしまうので、レンズの中心部が強めの度数、外側の部分が弱めの度数、という設計になっています。
交代視型の強みとしては、度数分布がはっきりとしているため、後に紹介する同時視型より見え方がはっきりしやすい、ということが上げられます。
弱みとしては、手元のものを見る際に、顔の角度に気をつけなければいけないことが挙げられます。交代視方のレンズで手元のものを見るためには、下目使い(顔は前を向いたままで、視線だけを下に向ける見方「下方視」)をしなければいけません。手元のものにまっすぐ顔を向けてしまうと、上の画像でいうレンズの中心部(度数が強い部分)で手元を見ることになってしまうので、近くが見づらくなってしまいます。
また、上にも書いた通り交代視はハードコンタクトレンズにのみ用いられる設計です。ハードコンタクトレンズが付けられない方は、必然的にソフトコンタクトレンズを選ぶことになります。
同時視型
主にソフトコンタクトレンズに用いられる設計です。ハードコンタクトレンズに用いられる場合もありますが、希少です。同時視型は交代視型に比べ少し構造が複雑なので、少し人の目と焦点の仕組みについて触れてから、仕組みを説明していこうと思います。
人は距離が異なる複数のものを同時に見る時、無意識のうちに、脳の中で見たいものを選んで見ています。たとえば網戸を通して遠くの木を見る時などがそうです。目では確実に網戸も見ているはずなのに、網戸の存在をほとんど気にせずに木だけを見ることができるのは、人の脳が、目から入ってきた木と網戸という二つの情報の中から前者を選び、後者を排除しているからです。
同時視型の遠近両用コンタクトレンズは、このような人間の目の性質を利用しています。同時視型はその度数分布によりさらに細かく分類することができるのですが、だいたいは下図のように遠近の度数が交互に細かく入っていたり、あるいはほぼ重なり合うように入っています。
![]() |
出典:コンタクトレンズJAPAN (http://www.contactlens-japan.com/eyecolumn/column03.html) |
同時視型の遠近両用コンタクトレンズで遠くを見ると、遠用の度数を介して見た像が脳によって選ばれ、近用の度数を介して見た像は無視されます。逆に近くを見ると、近用の度数を介して見た像が脳に選ばれ、遠用の度数を介して見た像は無視されます。これは、網戸を通して木を見るのと同じですね。
ただし、無視されるといっても完全になくなるわけではないので、遠くを見る時も近くを見る時も、交代視型の遠近両用コンタクトレンズに比べ見え方がぼんやりとしてしまいます。そういった意味では、交代視方の遠近両用コンタクトレンズに比べ見え方の満足度は低いかもしれません。
しかし一方で、同時視型は交代視方のように視点変更をする必要がないので、激しく視点を動かす必要があるスポーツや、パソコン作業に向いていると言えます。また、ハードの装用感にどうしても慣れられないという方は、必然的にこちらを使うことになるでしょう。
まとめ+私見
遠近両用コンタクトレンズは、視覚効果的にも経済的にも、とにかく人を選ぶ矯正法です。合う人には合いますが合わない人には本当に合わない。ネット上で評価や意見が大きく分かれているのはこのためです。私も年齢的に老視が若干入ってきたので遠近両用コンタクトレンズ(プロクリアワンデーマルチフォーカル)を利用していますが、やはり見え方の鮮明度は、「遠用コンタクトレンズ+老眼鏡」には敵いません。老眼鏡の付けはずしの手間が苦にならないのであれば、視覚効果的にも経済的にもそちらで矯正した方がいいかもしれません。
遠近両用コンタクトレンズが合わなかった場合の老眼対策には、以下の方法が挙げられます。
- 遠用コンタクトレンズ+老眼鏡
- モディファイドモノビジョン
よくある質問
Q | 家族や友達が、遠近両用コンタクトレンズは見づらいと言っていましたが… |
A | 個人差が大きいので試してみないことには何とも言えません。また、遠くと近くが見えるといってもそれぞれ100%の見え方が実現できるわけではないので、期待しすぎるとほぼ100%失敗します。遠近両用コンタクトレンズはあくまで、「眼鏡だけで生活できること」を目指したレンズです。「ある程度」は見えますが「バッチリ」見えるものではありません。 |
Q | 何歳まで矯正が可能ですか? |
A | これも個人差が大きいので一概には言えませんが、ソフトの場合はだいたい60を過ぎてくると矯正が難しくなってきます。もちろん、度数を下げればいくらでも見えるのですが、遠くの見え方もある程度ほしいとなってくると難しくなります。一方ハードは、ソフトに比べ矯正力が高く、度数範囲が広いので、幅広い年齢に対応することができます。 |
Q | 遠近両用コンタクトレンズを付けていると、目に不可がかかりますか? 老視の進行が早くなりますか? |
A | 遠近両用コンタクトレンズを付けているからといって老視の進行が早まるということはありません。また、遠近両用コンタクトレンズを付けることによって目にかかる不可が大きくなるということもありません。むしろ、近くが見えづらい状態で我慢して見ているよりは楽になるので、その分不可を減らすことができます。 |